マイクロフロントエンドの組成パターン
本章では、実際にマイクロフロントエンドを構築する際の組成パターンについて紹介する。
前提
とあるECサイトを3つのチームでアプリケーション開発すると想定する。
- Search Team
- Productを検索する
- Product Team
- Productを魅せる
- Inspire Team
- Productへの購買意欲を高める
これらのチームは、バックエンドからフロントエンドまで1チームで構成されている。 フロントエンドは、フラグメント(HTML,CSS,JS)を提供する。
クライアントサイド組成パターン
クライアントサイドレンダリングするタイミングで、組成する。 一番わかりやすい例が、iframeやWeb Componentsである。 各フロントエンドチームのフラグメントを、ブラウザ上で組成する。 もっとも簡単な手段は、iframeを使うことだ。
メリット・デメリット
- メリット
- Web標準技術のみで実現可能
- iframeやシャドウDOMによる堅牢な作り
- デメリット
- サポートブラウザに依存する
- クライアント側のJavaScriptが有効であること
選択基準
次の条件を満たす。
- さまざまなチームのユーザーインタフェースを1つの画面に統合する必要があること
- インタラクティブなアプリケーションを構築すること
技術
- Ajax
- Iframe
- Web Components
- Luigi
- Single-Spa
- FrintJS
- Hinclude
- Mashroom
サーバーサイド組成パターン
サーバーサイドレンダリングのタイミングで、組成する。 一番わかりやすい例が、SSIである。 各フロントエンドチームのフラグメントを、サーバーサイドで組成する。
メリット・デメリット
- メリット
- SEO対策上よい
- ユーザーのネットワークレイテンシーが少ない
- 初回ロードパフォーマンスが優れている
- デメリット
- インタラクションアプローチが不得意
選択基準
次の条件を満たす。
- 良好な読み込みパフォーマンス
- 検索エンジンのランキング
これらが、プロジェクトの優先事項であること。
技術
- SSI
- Podium
- Ara-Framework
- Tailor
- Micromono
- PuzzleJS
- namecheap/ilc
エッジサイド組成パターン
サーバーサイド組成と同じパターンだが、組成場所がエッジに変わる。 次のようなCDNサービスを使うことになる。
- Akamai
- Cloudfront
- Fastly
- CloudFlare
- Fly.io
技術
- ESI
- Varnish EDI
- Edge Worker
ビルドタイム組成パターン
アプリケーションのビルドするタイミングで、組成する。 一番わかりやすい例が、bit.devのようなサービスである。 各フロントエンドチームがフラグメントモジュールを開発する。 フロントエンドアプリケーションは、各フロントエンドチームのモジュールをインポートして利用する。
メリット・デメリット
- メリット
- サーバリソース意識せず、サーバーサイド組成のメリットを享受できる
- デメリット
- モジュールバージョニングとデプロイの非効率性
選択基準
他の統合が非常に複雑と思われる場合に選択する。 小さなプロジェクト(3チーム以下)のみ使用すること。
技術
- Bit.dev
- Open Components
- Piral
マイクロフロントエンドの分割ポリシー
これまで話してきた組成は、水平分割である。 つまり、1つのページに複数のフロントエンドチームのフラグメントを組成する。 これとは、対照的に垂直分割がある。 これは、1ページに1つのフロントエンドチームが担当する。
- 水平分割
- 画面内にある要素で分割
- 垂直分割
- 画面毎に分割